株式会社南海プランナーさまで、「なぜ共有しないと仕事が止まるのか?」をテーマにDXワークショップを実施し、社員の皆さんが日々の仕事を振り返り、困りごとや情報共有のあり方について考えました。
塗料の卸売を原点に、お客さまの相談に応えながら事業を広げてきた同社。今回のワークショップの背景には、社員それぞれの工夫やデジタル活用を会社全体へ広げ、仕事の「標準化・平準化」につなげたいという思いがあります。
同社は、どのような歩みを重ね、なぜ今DXに取り組もうとしているのでしょうか。笠井泰宏社長と市場開発グループ大川さんのお話とともにご紹介します。
お客さまの相談に応えながら広がった事業

同社は1974年設立。塗料の卸売を原点に、半世紀にわたって事業を展開してきました。現在では塗料に加え、各種資材、設備機器・工具、改修・工事、IT・ソフトウェアを含む各種ソリューションなどを取り扱っています。
事業領域の広さについて笠井社長に尋ねると、その背景にはお客さまとの日々関わりがあると話します。事業を続ける中で、塗料だけにとどまらないさまざまな相談が寄せられるようになり、その一つひとつに「できる限り応えられる会社になろう」と取り組んできたといいます。
その積み重ねによって仕入れ先が増え、扱う商品やサービスも徐々に広がっていきました。「今はほとんど何でも扱っていると言えるくらいです」と、笠井社長。目の前のお客さまが何を求めているのかを考え、応え続けてきたことが、現在の幅広い事業を形づくっています。
時代やニーズの変化を捉えながら、自社にできることを増やしていく。こうした同社の歩みは、DXへの向き合い方にも通じています。
本業を生かして地域の子どもたちとつながる

同社では、地域とのつながりを大切にした活動にも取り組んでいます。笠井社長が語るのは、「地元密着型の会社でありたい」という思いです。
その一つが、地元プロサッカークラブと連携した地域貢献活動です。小学校などを対象に、塗装を通じて地域と関わる取り組みを行っています。
また、幼稚園・保育園などを対象にした独自の地域貢献ペイント事業「Color with Color」にも取り組んでいます。ペイント体験を通じて子どもたちが色に触れ、感性を育むとともに、地域や人とのつながりを考えるきっかけをつくっています。
活動を担当する大川さんによると、地域の園などから「うちでもやってほしい」という声が寄せられることもあるそうです。塗料を長年扱ってきた同社の強みが、地域との接点づくりにも生かされています。
商品を届けるとともに学びの場を提供
同社の特徴的な取り組みの一つが、NTC(南海プランナーテクニカルセンター)です。2006年に研修センターを開設し、2018年にNTCとしてリニューアルしました。自動車塗装などに使用する塗装ブースを備え、2025年には熱風焼付乾燥炉も設置しました。
NTCでは、塗装の実技や自動車のメンテナンス、工業関係の技術講習などを実施しています。労務関係の研修や熱中症対策の勉強会などにも活用されています。
社内の人材育成に加え、お客さまを招いた研修・講習の場としても利用されており、笠井社長によると、設備を活用した講習には県外から参加するケースもあるといいます。また、自動車塗装を長年経験してきた社員が、お客さまのもとへ出向いて技術講習を行うこともあるそうです。
商品や設備を仕事にどう生かすかというところまで、お客さまと関わっていく。相談に応える中で事業を広げてきた同社の姿勢が、NTCにも表れています。
DXで目指す仕事の標準化と平準化

DXワークショップをしようと考えたきっかけについて、笠井社長は、以前から社内業務をもう少し簡素化したいという思いがあったと話します。特に意識しているのが、仕事の「標準化・平準化」です。
現在、同社では一部の社員がAIなどのデジタルツールを自主的に業務へ取り入れています。新しいツールを自ら試し、仕事に生かそうとする社員がいる一方、活用方法や頻度には社員によって違いがあります。
そこで笠井社長が考えているのが、便利な方法を個人の工夫だけで終わらせず、会社全体で共有していくことです。便利なものを誰もが使えるようにして、日々の業務を進めやすくする。そんな考えが、同社のDXの出発点になっています。
個人のAI活用を会社全体へ広げたい

実務を担う大川さんも、社員によってAIの活用状況に違いがあることを感じていました。取材の中では、その状況を「AI格差」と表現しています。
ここでいう格差は、AIをすでに仕事に取り入れている社員と、まだ利用する機会が少ない社員との、活用状況の違いを指しています。
今回のDXワークショップについても、大川さんは、「そういう格差が少しでも縮まれば」と期待を寄せます。社内にAIやデジタルツールを活用する社員がいるからこそ、次は、その便利さや使い方をどのように周囲へ広げていくかが課題です。
個人の活用を、会社全体での活用へ。同社は、日々の仕事の中で誰もがデジタルを活用できる環境づくりを考えています。
身近な業務から改善のヒントを探す
「そんなに高いレベルまでは期待していないけれども、せめて多少でも効率が上がれば」と、笠井社長。まずは現場で役立つことから、無理なく取り組みたいという思いがうかがえます。
例えば、会議の音声をデジタルツールで文字にすることも、その一つです。必要な人が誰でも使えるようになれば、日々の仕事の負担軽減につながります。
また、同社では社内コミュニケーションのためのデジタルツールも利用していますが、社員によって使い方には違いがあるといいます。複数の営業拠点があり、社員全員が一堂に集まる機会も限られる同社にとって、必要な情報を必要な人が共有できる仕組みは、業務を円滑に進めるうえで大切なテーマです。
情報共有を見つめ直すDXワークショツプ

こうした思いを背景に実施したのが、「なぜ共有しないと仕事が止まるのか?」と題したDXワークショップです。
参加者はまず、営業活動で感じている困りごとを見える化し、分類しました。そのうえで、電話を中心とした情報のやり取りにある課題を考え、理想の情報共有や、明日から実践することへと検討を進めました。
電話は、その場で相手と話し、確認できる便利な手段です。一方で、やり取りの内容が当事者の間だけにとどまれば、ほかの社員が情報を確認できず、同じ内容を伝え直す必要が生じることもあります。情報を知っている人が不在であれば、確認が取れるまで仕事が進められない場面も考えられます。

今回のワークショップでは、こうした電話文化の課題を捉えながら、必要な人が必要な情報を確認できる状態について考えました。同社が利用している社内コミュニケーションツールも、連絡手段に加え、情報を蓄積・共有する場として活用することができます。何を共有すれば仕事が進めやすくなるのかを考えることが、ツールを業務改善に結びつけるうえで大切になります。
最後には、それぞれが「明日から実践すること」を考えました。営業活動の困りごとを整理し、情報の持ち方や伝え方を見直したうえで、できることから始める。今回のワークショップは、社員の皆さんが自社の仕事を見つめ直し、改善への一歩を考える機会となりました。
自社の困りごとがDXの入り口に
こうした日々の業務の中にある小さな困りごと、情報の持ち方や共有の方法を見直すこともDXへの第一歩です。
DXは、新しいシステムを導入することそのものが目的ではありません。現場の課題を見つけ、デジタルの力も活用しながら、よりよい仕事の進め方につなげていくための手段です。
徳島大正銀行では、お客さまの業務や現在抱えている課題をお伺いしながら、「何に困っているのか」「どこから改善できそうか」を一緒に整理し、デジタルやAIの活用をともに考えています。
具体的なシステムやツールの導入を検討している企業だけでなく、「うちの会社でも何かできるだろうか」「この業務、もっと効率化できないだろうか」という段階から、ぜひお気軽にご相談ください。
今回の南海プランナーさまのように、自社の業務をあらためて見つめ、社員の皆さんと一緒に「困っていること」から整理してみることで、これまで気づかなかった改善のヒントや、自社に合ったDXへの一歩が見えてくるかもしれません。
これからも地域企業の皆さまに寄り添い、それぞれの企業に合ったDX活用への一歩をサポートしてまいります。

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聞き手:とくぎんサクセスクラブ事務局 窪内 由記
写真:とくぎんサクセスクラブ事務局 泉 はる香
(2026年10月作成)


